吃音で有名なヴァン・ライパー(1963)は吃音行動の流動性、重篤化、改善・治癒をめぐって次の方程式を発表しています。
$$吃音行動の頻度や重症度=\frac{(P×F×A×G×H)+(Sf×Wf)+Cs}{M+FL}$$
P | penatly | 罰 | 吃音に対して罰が与えられた時、あるいは過去に与えられた記憶がある時 |
F | frustration | 欲求不満 | 経験または記憶に残っているすべてのタイプの欲求不満 |
A | anxienty | 不安 | 不安がある時 |
G | guilte | 罪 | 罪の意識 |
H | hostility | 敵意 | はけ口の必要な敵意 |
Sf | situational fear | 場面に対する怖れ | 過去の不愉快な記憶に基づく、場面に対する怖れ |
Wf | word fear | 語に対する怖れ | 過去の不愉快な記憶に対する、語に対する怖れ |
Cs | communicative stress | 話すことに関する心理的圧力 | 話すことに関する心理的圧力の大きな場面(聞き手が立ち去りそうな時、話を中断された時など)、あるいは重要なことをいわなければならない時(伝達責任) |
M | morale | 士気 | 士気ないし自我の強さ、あるいは自信 |
FL | fluency | 流暢さ | 本人の感じる流暢さの程度 |
管理人の考察
上記の方程式で、まず吃音を促進させるものとして、不安・怖れなどの項目があります。不安や恐れが強いほど、吃音が重篤化することになります。しかも、その不安や恐れは、「足し算」ではなく、「掛け算」になっている点が非常に重要なポイントです。
つまり、不安や恐れは、10+10=20という増え方ではなく、10×10=100という増え方になる!吃音促進スピードが俄然高くなる、そういう意味を表わしています。
また、吃音を抑制するものとして「自信」「本人の感じる流暢さ」の項目があります。自信をつけることで吃音は軽減できるわけです。吃音は精神的な部分が非常に・・・大きい!といえるわけです。