改善方法

改善方法のアプローチを整理します。

  1. 吃音の発症は幼児期のケースがほとんど。
  2. 「吃音」と「話す場面」が連合して、話す場面で「不安」がある。
  3. 「話す場面」を回避することで、不安感は低下するので、回避反応が強化されていく。

要するに、吃音は細かく言うと3面性。一つは「吃音症状」、二つ目は「話す場面での不安感」、三つ目は「回避反応」。ということ。

以上のことから、改善方法のアプローチは次の2点に集約されます。

  1. 吃音症状の消去
  2. 負の情動反応の消去(不安感の消去+回避反応の消去)

吃音症状の消去

吃音症状の消去には、次の7つの方法があります。

斉読法 集団で一斉に声をそろえて音読する方法。
シャドーイング法 治療担当者が音読し、吃音者はその音声の後を追うように追唱する方法。
マスキング法 ヘッドホーンを使用して雑音を聞かせて、その間に吃音者が音読する方法。
リズム変容法 メトロノーム音を聞かせて、それに合わせて発語する方法。
DAF技法 遅延聴覚フィードバック(Delayed Auditory Feedback 以下DAF)を使用する方法。
罰療法 快刺激を取り去ることにより行動修正を図る方法。
負の練習法 吃音の劣等感・不安感を低減させ、自己制御感覚を習得させる方法。

 

負の情動反応の消去

負の情動反応の消去には、次の5つの方法があります。

環境調整 吃音の維持または助長させる環境要因を取り除くことで吃音を軽減させる方法。
漸新的筋弛緩法 意識的に随意筋の緊張を弛緩させることによって不安や過敏、不満をなくして情緒の安定をもたらしめる方法。
自律訓練法 受動的集中によって、情緒の安定を図るもの。
系統的脱感作法 吃音予期不安・恐怖を低減させる方法。
催眠法 催眠法により吃音行動を軽減させる方法。

 

その他の方法

薬物療法 薬で緊張・不安を和らげる。
注意転換法 吃音とは他のものに注意をそらす方法。
遊戯療法 幼児の吃音症状に対して。
認知療法 認知のゆがみを修正する。

組み合わせの例

改善方法は、上記の方法を組み合わせて行います。どれか一つ・・たとえば、DAF技法だけ・・とかでは、改善は見込めません。上記のアプローチでも説明しましたが、吃音は2面性(細かく言うと3面性)があります。まずは、吃音症状、次に、話す場面では不安になる、そして、回避してると回避反応が強化される。。。要するに、吃音は、3面性があるのだから、改善法も数種類必要だ・・ということです。
<組み合わせ例>

吃音症状の消去 負の情動反応の消去
DAF技法 環境調整+斬新的筋弛緩法
斉読法 系統的脱感作